私たち再建外科医は組織・機能の欠損した患者さんの形態(美容)、色調、質感および機能をできるだけ本来あった姿(あるべき姿)へ戻すことを頭の中に反芻するものです。一例をあげれば、癌切除後の口唇欠損を考えるとき形状的には白唇部と赤唇部を他人から見て出来る限り違和感のない仕上りにするにはどうしたらよいか?物を食べたり飲んだり、あるいは言葉を発したりする機能再建のために、今まであった筋肉、神経の代用に何を持ってきたらよいか?…などをそれぞれの長短を勘案しながら頭の中でシミュレーションを繰り返し、決したら迷わず予定した手順でし成し遂げます。ですから、純粋に美容目的の患者さんの治療についても、患者さん一人一人のあるべき姿(形態、機能の温存)を確保しながらの美しさ、若々しさを求めます。言い換えれば、自分の家族として自分にも他人にも違和感の無い健康的な自然美を追求するのです。一般に美容というと自分を変える、全く違う自分を形づくることが名医であるように考えているふしもあります。しかし、シワ一つなくなっても他が引きつれたり、鼻の格好が良くなっても将来皮膚が破れるような美しさは再建外科医である私からすれば不健全な美と形容せざるを得ないのです。私の理想とする美容外科医像は地味であっても人それぞれの個性を生命線にしながら、各々の患者さんが生来隠し持っている美しさを引き出し、失った若々しさを機能を失わない範囲で取り戻す手助けをすることを旨として取り組む医療人なのです。
―手術・治療名が同じでも施術医が違えば内容は全く異なるものなのです―。
皆さんが選ぶべきは「院」ではなく「人」すなわち信頼に足る「医師」だということを再確認してほしいと思います。 |