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胸は女性のシンボルのひとつですから、豊かなバストは優越感をもたらすとともに、女性としての自信にもつながります。元来小さかった胸や、年齢とともにボリュームダウンし張りを失った胸を、ご自身のイメージに近づけ、心身ともに活性化を計るのが豊胸術です。

この手術の本質は、胸部皮下にスペースを作りバッグを挿入してあげることです。

術後、バッグの周囲には異物を閉じ込めようとする自己防衛反応としてカプセルが形成されます。このカプセルが適切な大きさに固定されれば柔らかく自然な胸が完成します。

− 歴 史 −

本来、バッグ挿入に必要な場所は乳頭を中心にした半径5〜6cmの円となります。

歴史的に見ると、バッグ豊胸術はシリコンジェルバッグがはじめで、乳腺下挿入法がメインであったため、(@)乳輪切開、(A)乳房下溝切開がなされました。

これは必要な範囲だけのスペース形成で事足りましたが、特に(@)乳輪切開で行った際、乳腺を分割してスペースを作った為、術後出血が多く起こりました。前述のバッグ周囲のカプセル形成に際し「血液は大切なものだから少しでも少なく済ませよう」という組織反応が加わり、カプセルが小さくなる傾向が強かったのです。

そのため当時は、術後マッサージで小さくなってしまうだろうカプセルを壊しつつ、大きなカプセル、つまり柔らかい胸の獲得に努めた訳です。

その後、バッグから漏出したシリコンジェルが乳癌を引き起こす可能性が示唆され、破れても安全な生理食塩水バッグが主流になりました。この際、やはりシリコンバッグに比べ直接の感触に多少難があったため、大胸筋下挿入法が主流になりました。

この層にスペースを作るには大胸筋を直接触れることができることと、生理食塩水バッグは小さくして挿入してから膨らますことができるという特性から脇の下の切開が主流になりました。

そして、腋窩切開法については傷跡を隠しやすいということが謳われているのです。

昨今は、ジェル入りバッグの安全性の改善がなされ、シリコンバッグ(ユーロシリコン、ソフトコヒーシブ)やCMCバッグさらには、形状改良型としてアナトミカルバッグなどが登場し、直接バッグの柔らかさを感知できる乳腺下法が再流行しています。

体内への異物挿入の評価は10数年以上の長期フォロ−アップによってなされるものなのですから必ずしも、新製品が安全かつ優良と言い切れないということを頭の隅に入れておいてください。

また、形状として、半球状の円形バッグとその上方に三角状のボリュームを付加したアナトミカルバッグとがあります。後者は加齢とともにボリュームダウンした胸上部の改善を意図したものです。静止状態ではよい形状を得やすい利点がある一方、動作時に違和感がないとは言い切れないのも事実です。

乳腺ボリュームアップを本来の目的とする豊胸術において動作時に最も自然になじむ円形バッグは、やはり扱いやすい形状ということができます

− 手術法 −

切開部位と挿入層によって4つの組み合わせがあります(挿入バッグの種類選択は別として)

1,腋窩切開 乳腺下法
現在、当院で最も多い術式でジェル含有バッグ(シリコン、CMCなど)を選択します。傷あとも隠しやすく受け入れやすい利点があります。乳房下垂の程度が少なく比較的若い方にはよいでしょう。

2,腋窩切開 大胸筋下法
胸部乳腺および皮下脂肪がごく少ない方にはバッグ形状を大胸筋でぼかすことができるこの方法がよいでしょう。生理食塩水バッグが理想ですが、破損を考えジェルバッグ挿入が増えています。

3,乳房下溝切開 乳腺下法
乳房下のしわになったところに切開を加え、バッグ挿入範囲のみ剥離すればよいので手術侵襲が最も少なく、日常生活の復帰が最も容易です。当初は性交渉時隠しにくいという不利な点もありますが、6ヶ月、1年経つうちにごく目立たなくなります。ある程度以上の乳房下垂がある方にも下方剥離が容易なので有利です。ジェルバッグを選択します。

4,乳房下溝切開 大胸筋下法
 下溝切開後、大胸筋と切離しての剥離が必要になるので、あまり行っておりません。

人それぞれ置かれた立場、事情が異なりますので手術法の理屈を理解したうえで担当医とご相談下さい。

 ■ 下に列記した事項を考慮に入れ、人それぞれの事情・希望に合わせ術式を決定します ■

腋窩切開法の利点、欠点
(@) 術後初期から傷あとを隠しやすい。
(A) 大胸筋下に到達しやすい(大胸筋下挿入法に適する)
(B) 本来必要なスペース形成部に到達するためのトンネル(到達路)作成が必要
 ⇒ジェルバッグ挿入には、組織ダメージを加えやすく、一時拘縮になりやすい
(C) 術後3週間位は腕をあまり上げないことが必要
(バッグの上方偏位をうながすことがある)
(D) 術後疼痛が比較的強い

乳房下溝切開法の利点、欠点
(@) 乳腺下層に到達しやすい
(A) 必要なスペースだけの剥離で済む
(B) 術後、運動制限が少ない
(C) 術後疼痛が少ない
(D) 術後初期、傷を隠しにくい(時間とともに目立たなくなる)
よくある質問
(@) 何故、術後マッサージが必要なのか?
  前述したように、異物には必ずカプセルができます。昔とちがって術後出血の少なくなった昨今、大きなカプセルを作ってあげれば良いのです。カプセルの完成に3〜4週間かかりますので、この間、軽く胸を圧迫(腹巻orサラシなど)し底面積の大きなカプセルができる工夫をしてあげればよいのです。勿論、万一術後出血があった場合にはマッサージが必要になります。

(A) レントゲンに写らないバッグはどれですか?
  よく聞かれる質問ですが、これはX線のエネルギー量により、すべてのバッグが写りもすれば、写らなくもなります。ただ、この違いがわからない医師、X線技師はおりません。また昨今それを見て、数奇な目でみる者もいませんので御安心ください。

(B) 何故、以前ダメだったシリコンバッグが大丈夫なのですか?
  製造会社の裏事情は別として、シリコンジェルが乳腺に浸潤し乳癌になったと思っている医師はまずいないものと思います。厚生省も乳癌手術後乳房再建には使用を許可していたほどです。また、近年出てきているマンマバッグはシリコンジェルを包む膜を厚くすることとジェルの粒子同士が離れにくいようにすることで、乳腺内に浸潤しにくくなっているので安全性が高まったと言えるのです。

(C) 脂肪注入による豊胸術はどうですか?
  自分の組織ですから、異物反応は起こしませんが細胞膜が保たれない脂肪移植はよい方法とはいえません。少量かつ乳腺内、大胸筋内に分散させる方法であれば、大きな問題にはならないものと思いますが、注入部に必ず繊維化(瘢痕組織の形成)が起こります。
これがどのような影響を与えるかは長期フォローアップを待つしかありません。

(D) カプセル拘縮を起こしにくいバッグはありますか?
  バッグの表面がざらついているもの(テクスチャータイプ)のほうがスムースタイプのものより良いという意見もありますが、必ずしも相関関係はないと思われます。


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乳房が女性のシンボルであることはいうまでもありませんが、その美しさには乳頭の大きさ、形も大きなウエイトを占めます。とくに、子どもを母乳で育てあげたお母さんたちのなかには、大きくなってしまった乳頭に悩んでいる方も多いようです。適切な手術を行うことで、感覚も失わず、傷あともわかりにくく、バランスのよい乳頭を再現できます。
乳頭はおおむね円柱形をしており、縦方向の血流によって栄養が補給されています。ですから、この血流系を温存すれば、乳頭は壊死に陥らず、また感覚を失うことなく縮小することができるのです。

まず、高さの縮小は乳頭基部から低くするだけの高さまで皮をむき、辺縁どうしを縫合します。

次に大きさの縮小は、必要に応じて数か所、乳頭尖を楔状に切除し、縫合して終了となります。
この部分の傷跡は全くわからなくなるのが一般的です。
片方 20〜30分 7日〜10日
術後数日間は、軽い痛みを伴いますが、日常生活に支障はありません。
なし
 
乳頭とともに乳輪が大きすぎるのも1つの悩みのタネになります。あまりに大きすぎる場合は別の方法も考慮しますが、一般には乳輪外縁と新しく作りたい大きさの外縁の同心円の間の乳輪部皮膚をデヌード(表皮のみをとり去ること)し、きんちゃく縫合することで改善を計ります。
片方20〜30分 7〜10日
1〜2日は軽い痛みを伴うこともありますが日常生活に支障はありません。
なし
 
大きすぎて下垂を伴った乳房を乳房の部分で切除と乳頭・乳輪の吊り上げを行い、理想的な位置の乳頭・乳輪を伴う適切な大きさの乳房を再建するのが縮小術です。下垂だけが目立つ場合にはボリュームの縮小は行わず、乳頭・乳輪の挙上および皮膚表層の切除縫縮を行います。乳輪周囲およびその下に逆T字型の傷あとが残りますが、時間とともに改善します。
乳腺は乳管を通じ乳頭部に開口していますが、乳管が短すぎると乳頭が乳房内に陥凹した状態となります。これが陥凹乳頭ですが、治療は短すぎる乳管を切断し乳頭を突出させることになります。この短すぎる乳管の合体に占める割合が3割程度であれば術後の授入も可能ですが、高度の陥凹乳頭の場合乳管の全切断が必要となり授乳不可能となります。認識した上で担当医にご相談下さい。
乳頭の下外周縁から内外側の乳輪に三角状のデヌード(表皮を剥ぐこと)した2つの皮弁を挙上し、その切開部より短い乳管を切断したのち2つの皮弁を乳管の間で縫合し、陥凹しない工夫をしたのち瘡を縫合します。
片方20〜30分 7〜10日
1〜2日は軽い痛みを伴うこともありますが日常生活に支障はありません。
なし